審査請求申立の趣旨
Sponsors
Updated on 2009/10/3
文京区の弁明
(5) 本案の弁明について:棄却を認める理由(つづき)
請求人らは、雨水流出抑制計算が、雨水のみで生活排水を勘案されておらず、法第33条第1項第3号に違反する旨主張する。
前記述べたとおり、排水施設については、区審査基準に基づき計画下水量及び雨水流出抑制の算定を行っている。生活排水については、計画下水量のなかで汚水量として計算しており、あらためて雨水流出抑制で計算しなおすことは必要なく、本件の算定は妥当である。したがって、法第33条第1項第3号に適合している。
※(審査請求人の訴えはこちらです。)
請求人らは、現地の安全化について、文京区長は現地の安全確認をせずに開発許可を行い、都市計画法に定められた事査を実施していない。また、計画地南側は、日常的に崩壊を繰り返している。擁壁構造計算書は、地震による負荷圧力を考慮せずに構造計算しており、法第33条第1項第7号に違反する旨主張する。
法第33条第1項第7号は、開発区域内の土地が、地盤の沈下や崖崩れや出水のおそれがある土地の場合は、災害発生を防止するため、安全上必要な措置を講じ、設計することを規定している。
本件開発許可処分では、本号の規定に基づき、崖崩れのおそれのあるところは鉄筋コンクリート造の擁壁を設置するなど、安全上必要な措置を講じている。
請求人らが過去にも崖崩れ災書が発生したと指摘する点について調査した結果、文京区史(巻五)に「昭和33年9月26日の台風23号(狩野川台風)によって文京区は最大の被害をこうむり、がけ崩れが区内7箇所で発生した」と記述があった。当時を知る付近住民によると、台風23号(狩野川台風)の直撃により本件敷地の一部がこのときに崩れたものである。当時、本件開発区域の目白通り沿いには擁壁がなく、自然なのり面を有する崖であり、目白通りとの境界には万代塀が設置されていた。台風による当該自然崖の崩壊後、現在の鉄筋コンクリート造の擁壁が築造されている。当該擁壁は、その後現在に至るまで、崩壊した事実もなく、また、特に目立った亀裂も見受けられず安定している。
本件開発許可では、目白通りに沿って歩道状空地を設置するため、現在の擁壁を撤去し、新たに鉄筋コンクリート造の擁壁を設置するものであり、構造的にもより強固で安全な擁壁を設計するものである。
本件開発申請に先立って、平成20年4月16日に都市計画部計画調整課の開発担当職員が現地を調査しており、これをふまえて本件開発申請を審査している。したがって、都市計画法上、適正に審査しており、請求人らの主張は失当である。
擁壁の構造計算について、区審査基準では、擁壁の地上高さ(見え高)が5mを超える場合や基礎地盤が軟弱地盤である場合等のときに、地震時の検討を行うこととしている。本件の擁壁は高さ5m以下であり、基礎地盤は軟弱地盤でもないため、地震時の検討は行っていない。
請求人らの指摘する本件開発区域の南側に関する一連の記述については、前記で述べたとおりである。なお、災害対策基本法及び地方公務員法に関しては、本件処分と何ら直接関係がないものである。
※(審査請求人の訴えはこちらです。)
請求人らは、本開発計画は全樹木の伐採を前提とし、樹木伐根後の地質安定について何ら対策を講じず、また、開発業者に対し指導していないため、法第33条第1項第9号に違反する旨主張する。
法第33条第1項第9号の規定は、樹木の保存、表土の保全についての基準であり、令第23条の3で定める規模(1ヘクタール)以上の開発行為の場合に適用になる。本件開発区域の面積は、 7,765.39 平方メートルであり、本号の審査は及ばず、請求人らの主張は失当である。なお、本件では、都自然回復条例及び区みどり保護条例に基づき、それぞれ東京都及び文京区に緑化計画を提出し、線化整備を行なうこととなっている。
※(審査請求人の訴えはこちらです。)